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【読書レビュー】アリさんとキリギリス 細谷功(一部ネタバレあり)

アリさんとキリギリス




楽しく働き自由に生きるためのキリギリス思考法とは?

イソップの寓話「アリとキリギリス」では、目の前の楽しさに流され遊んで過ごすキリギリスと働き者のアリは勤勉に働き、冬に備えて貯蓄をするアリの対比を描き、コツコツ真面目なアリの生き方こそが素晴らしいということが表現されています。

それから時代も変わり、人口知能やロボットなどの技術発展や経済状況の変化があり、また多様性を受け入れている人も増えた世の中において果たしてアリ的生き方が絶対的に正しいのか、キリギリスは本当に怠け者でその生き方は反省すべきものなのか。

相手の価値観を理解せずに自分の価値観で善悪を判断するのがいかに危ういかに気づく

アリの中に生まれ、周りがアリばかりであれば、成長していく環境の中で育まれる価値観はアリ的なものばかり。いつしかそれが絶対的に正しいと疑いもなく信じ込むことでしょう。

しかし、今の時代はンターネットやSNSに慣れ親しみ、世の中には本当に多くの価値観や考え方があるということに触れることができます。

広く多くの価値観に触れる機会がある一方でインターネットやSNSで垣間見られるものは、ほんのちょっと切り取られた価値観の一部や考え方であり、その背景や根底にあるものまでが理解しえるものではありません。前提となる価値観がどうして違うのか、何が違うのか、そこを理解せずして相手に自分の価値観を押し付けたり、相手の価値観を鵜呑みにして善悪を判断するのはとても危うく脆いものだということにこの本を読んで気づかされました。

自分自身の方が的外れであったり思い込みが大いにあるのかもしれない。

そう疑って物事を見れるようになれば世の中の矛盾に気づき賢く生きる助けとなるでしょう。

アリとキリギリス どちらがいいではなく、どちらもいい

キリギリスはいわば好奇心旺盛な子供。

本書の中で表現されていて「なるほど」と思ったひとつが、アリとキリギリスそれぞれの崇拝対象と嫌悪対象。

アリ キリギリス
崇拝対象 安定・ブランド・権威・組織・規則・現実・お金・競争 変化・新しい・面白い・自由・理想・個人・違い
嫌悪対象 変化・リスク 束縛・退屈・旧態依然

この言葉を見て思い浮かべたのが、アリについては「ホワイトカラー」、キリギリスについて「クリエイター」

どっちがいいとかダメではなく、どちらも必要なのです。互いに無いものを持っているので、両方あって然りなのです。

そして、AIの発展で、ホワイトカラーの仕事のほとんどはAIにとって代わられると言われています。

そんな中で人間に求められるものは、人間だからこそ生み出せる創造的なことでしょう。つまりはキリギリス的なことが見直される世の中になってきているのです。

キリギリス的生き方は薩摩藩士に通ずる

挑戦に対する評価について、薩摩藩では「男の順序」というものが伝承されていたそうです。その順序とは、

①何かに挑戦し、成功した人

②何かに挑戦し、失敗した人

③自分では挑戦していないが、挑戦する人を手助けした人

④何もしない人

⑤何もしないが他人の批判だけをする人

というものですが、これはキリギリスの価値観そのものです。

(本書P.129より引用)

「男の」と定められているところが古い日本という感じですが、2番目が何かに挑戦し、失敗した人というのは素敵だなぁと思います。

あなたの中にアリとキリギリスが共存する

アリ寄りの人、キリギリス寄りの人などはあるかもしれませんが、人というのはその時々の立場や状況、環境により多面性をもっているもの。

仕事ではアリ人間の人が、週末の趣味ではキリギリスなんてことやその逆もありき。

どちらがいいとか悪いとかではなく、適材適所。自分の個性に合わせて自分で仕事や環境を選ぶことも大事。そして自分の中に様々な一面があるように、他の人にも様々な一面があること、価値観があることを理解しているだけでも世界が広がることでしょう。

行き詰った時にふと振り返って読んだらいいなと感じる1冊でした。

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